株式投資1年目を振り返って
株式投資を始めたのは2019年3月20日、あっという間に1年も経った。
初めは390,000円からスタート。
その後何度か資金追加を行い、現状の結果としては以下のようになった。(6月18日時点)
累計入金額:836,000円
現在の保有資産(含み益ベース):1,914,000円(+128.94%)
1年と少しでこれだけ資産を増やすことができたのは、個人的には結構良い成果なのではないかと思う。
ただ、よく見える結果の中にも、大きな失敗はたくさんあったし(もちろん成功と言える部分もある)、そこから様々な学びも得てきた。
本稿では、株式投資を始めてから現在に至るまでの取引履歴とそこから得た教訓を記していこうと思う。
取引履歴
エン・ジャパン株式会社(4849)
約定単価:3,225円
譲渡単価:4,015円
保有株式数:100株
決済損益:79,000円(+24.50%)
タキロンシーアイ株式会社(4215)
約定単価:612円
譲渡単価:666円
保有株式数:100株
決済損益:5,400円(+8.82%)
シェアリングテクノロジー株式会社(3989)
約定単価:1,340円(100株) 690円(200株) 640円(100株)
譲渡単価:389円
保有株式数:400株
決済損益:-180,400円(-53.69%)
株式会社ビーネックスグループ(2154)
約定単価:1,625円(200株) 1,260円(100株)
譲渡単価:968円
保有株式数:300株
決済損益:-160,600円(-35.61%)
SBテクノロジー株式会社(4726)
約定単価:1,970円(100株)
譲渡単価:2,200円
保有株式数:100株
決済損益:+23,000円(+11.68%)
アプライド株式会社(3020) ※保有中
約定単価:1,920円(100株) 2,065円(200株)
現在単価(6/18時点):6,380円
保有株式数:300株
評価損益:+1,309,000円(+216.36%)
教訓
① 下降トレンドに逆らわない
この1年間で「下降トレンドに逆らったことで、大きな損失を出す」という経験をした。
自分の言う下降トレンドに逆らうというのは、下記の2パターンがある。
・下降トレンドになっても保有し続ける
・下降トレンドの銘柄を購入する
本章では、上記2パターンの失敗と、そこから得た学びを記していく。
①-1 下降トレンドになっても保有し続ける-株価下落の理由を考える-
・株式会社ビーネックスグループ(2154)の場合
元々この会社を選んだのは、業績が良く安定して成長しており、そういった中でのPER18.5倍はまだ上げ余地があるのではないかと考えたためである。
しかし、その思惑は外れて株価は緩やかな下落を続ける。
2020年2月頃には、新型コロナウイルスのあおりを受けて株価は1,000円を割り、ここで流石に我慢できず968円で売却した。
-35%という惨憺たる成果だった。
ここでの一番の反省は、「下げている理由をあまり考えずに、ただ現状の数値から割安と判断し、保有し続けた」ということである。
実際、株価が下がっていたとしても、「さらにPERが下がって割安になっている、いつか適正に評価されるようになったら株価も上がるだろう」と思っていた。
これについて、予想のPERについて考えてみたい。
例えば、株価1,000円でEPSが100円、PERが10倍の企業があるとする。
この企業の株価が500円になったとして、安直に計算するとPER5倍で割安になっているように見える。
しかし、来期のEPSが50円になることが織り込まれているとしたらどうだろう?
来期の業績悪化を見込んでいる人からすると、株価500円/EPS50円=PER10倍となり、株価500円というのは平均的な値だというように判断できる。
一方で、現状発表されている数値のみで分析する人からすると、上記のようにPER5倍の非常に割安で上がり幅のある銘柄に映るかもしれないのだ。
ちなみにビーネックスグループは、新型コロナウイルスの影響もあり、予想EPSを大きく下げ、結果的にPERは下グラフのように推移している。
目前の株価と発表されている数字(時に2,3ヶ月遅れになることもある) だけで判断するのではなく、株価が下がっている場合は「なぜ下がっているのだろうか?」「自分が割安だと思っているのに、株価が下落しているのはなぜか?」といったように、株価下落について理由を考えることが非常に大切だと学んだ。
予想修正されるEPSがPERに反映されるにはラグが生じるのである。
このように、保有銘柄が下降トレンドになった場合、安易に「割安になっているだけ、いずれ上がるだろう」と判断するのではなく、その理由を考えて時には撤退することも必要であると言えるだろう。
①-2 下降トレンドの銘柄を購入する-落ちてくるナイフは掴むな-
これは、下降トレンドの銘柄に手を出して大火傷したケースである。
初めに1,340円で100株購入したのだが、ここから株価は下落を続ける。
ますます割安になっているぞとばかりに、690円(200株)と640円(100株)でそれぞれ買い増しをしたのだが、これが大失敗。
初めの100株だけだったらまだ良かったものの、追加購入した300株で更なる損失を被ってしまった。
まさしく下降トレンドの理由を考えず(①-1)、尚且つ落ちてくるナイフを掴もうとして起こった悲劇である。
①-1のように、下降トレンドにはそれなりの理由があることが多い。
そこで下降トレンドをざっくり場合分けすると、下記のようになると思う。
A:下降トレンド(業績悪化の見込みあり/下落理由あり)
B:下降トレンド(業績悪化の見込みなし)
自分の興味のある銘柄が、Bなら買いでAなら売りという判断をすれば良い訳だが、その判断は非常に難しく、不確実性が大きい。(少なくとも今の自分の知識・経験では)
だったら、どうすれば良いのか?
それを考えた時に、シンプルに「下降トレンドの銘柄には手を出さない」という解に辿り着いた。
現状自分の実力では、上記のA・Bを自信を持って区分することが不可能に近い。
だったら、最初から下降トレンドの銘柄には手を出さないでおこうということである。
大きな損失を抱えないようにするためにも、「下降トレンドの銘柄には手を出さない、もちろんナンピン買いもしない」というのを、一旦の自分ルールにしている。
①-3 今後の方針-機械的に損切りを行う-
下降トレンドに逆らわないことの重要性は肌で感じてきたが、 では具体的にどのような場合にどのような行動を取れば良いのだろうか?
初めから下降トレンドの場合は、①-2のように初めから手を出さないというのが最もシンプルで有力なアプローチだ。
一方で、現在保有している銘柄が下降トレンドになった際のアプローチは非常に難しい。
というのも今の自分の実力では、株価下落の理由を突き止めること、想定されるEPS・PERをもとに適正な株価の落とし所を探ること、このどちらもが非常に難解なためだ。
(株価下落の要因を探る姿勢はとても大切にしたいが、全部が全部理解できるものではない)
そこで一旦は、移動平均線を割り込んだら売却というある種機械的なルールで損切りを行っていこうと考えている。
このルールを設けてから、対象となるようなケースが生じていないため、果たして有効なルールかどうか分からない。
また、1円でも割り込んだら売るのか?それとも少し幅を持たせておくのか?など、実際やってみないと分からないことも多々ある。
このように不確かなことが多いものの、まずは下記のような条件でやっていこうと思う。
・過去、移動平均線をどれくらい割り込んだ場合に、明確に下降トレンドへと移行しているかの数値を把握する
・その数値を現在の株価・移動平均線に当てはめ、逆指値をセットする
何度も言うが有効なルールかはまだ不透明であるが、本章で紹介した2社の失敗例のような大きな損失を防ぐために、機械的な判断というのを今後実行していく。
② 上昇トレンドを享受する
②-1 安易に上昇トレンド中に利確しない
・エン・ジャパン株式会社(4849)の場合
高い成長性、その割に類似企業と比較してPERが低く上昇幅があると見込んで購入したのが、エン・ジャパン株式会社である。
2019年3月20日に3,225円で参入し、その後4,015円で売却した。
その後、株価は4,000円台後半まで到達。
少し下落はしたものの、結局5,000円以上の値をつけるまでに上昇し、上昇トレンドを享受しきれないまま売却した格好となった。
ここでの学びは、前章と重複するが「トレンドの強さ」である。
下降トレンドについては、安易に手を出さないこと、機械的に損切りすることが重要だと体感した。
一方、上昇トレンドはその逆で、しっかりと保有し続けることが利益の最大化のために非常に大切だと学んだ。
「PERを考えると、これくらいの株価が適正か?」というように考えるのはもちろんだが、それと同時に、上昇トレンドに逆らわず握力強く保有し続けるのも一つの手段ではないだろうか。
・アプライド株式会社(3020)の場合
エン・ジャパンでの学びを活かせたケースが、こちらのアプライド株式会社だ。
この企業は、株価購入当時PER5倍という超割安さに成長性も有しており、さらにROE20%越えと経営効率も非常に良かった。
また、単なる小売業態のみではなく、大学向けなどB to B の分野の強化、AI関連の事業内容などの要素もあり、明らかに割安と判断し1,920円で購入した。
途中、新型コロナウイルスの影響もあり株価は1,100円程まで下落するも、その後急騰。
現状、6,000円を超える値をつけており、購入時の3倍以上に上昇している。
実はこの銘柄に関して、ここまで急に値上がりすることに不安を感じ、「○%くらい上がったら売ろうか」「PER○倍になったら利確しようか」と考えていた。
ただ、ここでエン・ジャパンの例を思い出し、上昇トレンドの内は持てるところまで持ってみようという判断を下した。
この判断は結果的には正となり、3バガーを達成。非常に大きな利益を出すことに成功している。
このように上昇トレンドの恩恵を享受するためには、上昇トレンドの最中は握力強く保有し続けることが重要であると言えるだろう。
②-2 いかに早いタイミング(割安なタイミング)で参戦できるか
上昇トレンドの恩恵を享受するためには、②-1のようにしっかりと保有し続けるということはもちろん大切である。
だが、それ以上に重要だと考えているのが「いかに早いタイミングで参戦できるか」ということである。
これは、エン・ジャパンのチャートである。
先ほど上昇トレンドに乗り続ける大切さは説明したが、例えば4,000円(2019年6月)で参戦するのと、5,000円(2019年11月)で参戦するのを比較するといかがだろう?
当たり前ではあるが、参戦するのが遅いほど(この場合5,000円での購入)得られる利益の幅は小さくなる。
さらに上昇トレンドが崩れ大きく下落した場合を考えてみると、4,000円で購入していた人は少しプラス、最低でもプラマイ0くらいの成果になる可能性がある。
一方で、5,000円で購入していた人にとっては、素早く売却したとしても購入時よりもマイナスとなる可能性を多分に秘めているのだ。
このように、
・得られる利益の幅が小さくなる可能性がある
・トレンドが転換した際に、損失を被る可能性がある
といった理由から、いかに早く参戦するかが非常に重要なのだと思う。
新規銘柄を選別する際、「上昇トレンドだからGO」ではなく、それと同時に各種指標から鑑みて「この上昇トレンドはどこまで続く余地がありそうか」も併せて考察する必要があると言えるだろう。
そして、一早く上昇トレンドに参戦するためにも下記のアクションを継続的に行う。
・会社四季報による投資候補先選定
→業績・財務共に良好だが、人気がなく放置されているような銘柄
→業績・財務共に良好で注目され始めているが、上昇余地が大きく残されている銘柄
→何らかのテーマが乗っかる可能性のある銘柄(テレワーク、AIなど)
・上記銘柄をまとめてリスト作成
→投資先となる可能性のある銘柄の値動きを日々チェック
→特にコロナショックの後の急騰のようなタイミングは見逃さない
地道な活動ではあるが、利益を最大化するためにはこうした日々の積み重ねが欠かせない。
③ 株式投資における考え方
ここまでは、具体的な戦術に関する教訓を記してきた。
この章ではそれらを踏まえて、株式投資で利益を出すために大切だと感じた考え方の部分について説明したい。
③-1 彼れを知りて己れを知れば、百戦して殆うからず
孫子の有名な言葉に以下の言葉がある。
「彼れを知りて己れを知れば、百戦して殆うからず。彼れを知らずして己れを知れば、一勝一負す。彼れを知らず己れを知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。」
敵と自分の両方の実情を知っていれば、百度戦っても危険がないということを意味している。
ここで、これを株式投資風に訳してみると、
「相場を知っていて自分の実力も知っている人は、百度戦っても危険がない。自分の実力は知っているが相場を知らない人は勝ったり負けたりする。相場も自分の実力も知らない人は、戦うたびに危険に晒される」
となる。
つまり、株式投資で安定して利益を出すためには、この2点が非常に重要なのである。
1. 自分の投資先や相場に対して、十分なまでに理解を深めること
2. 自分の力量をしっかりと把握すること
1に関して、十分な理解を得ないままに意思決定し、失敗したのがシェアリングテクノロジー株式会社である。
当時儲けに飢えていた自分は、営業CFが赤字であることや、営業利益がテクニカルな形で計上されていることには全く気づかずに、ぱっと見の成長性に騙されてこの銘柄を購入した。
その結果が−50%超の損失である。
「何となく成長している」「何となく上がりそう」というレベルで意思決定することがあってはならず、なぜこの銘柄を選択したかをはっきりと説明できるまで調査・分析する。
ここまでやって初めて、株式投資で利益を出す土台に上がれるのだろう。
2に関して、株価の動きよりも自分の実力を過信して失敗したのが、株式会社ビーネックスグループである。
こちらは前述のように、株価が下がり続けても「株価が間違っているのであって、自分の判断は間違っていない」というスタンスを取り続け、結局は大幅に下落したタイミングで損切りする羽目になっている。
もちろん、今後は徹底的に分析した上で投資先の選定を行う。
だが、それはあくまで現状の自分の実力の範囲内での分析に過ぎず、それが適切でない可能性も十分にあると考えられる。
もし選定した銘柄が下落したとしたら、過去の判断に囚われ過ぎず、現状の自分の力量を見つめ直し、素直に株価に従うということも重要な要素かもしれない。
③-2 勝つときは大きく、負けるときは小さく
アプライド株式会社を購入する前の投資成績は以下のようである。
・エン・ジャパン株式会社(4849) 決済損益:79,000円(+24.50%)
・タキロンシーアイ株式会社(4215) 決済損益:5,400円(+8.82%)
・シェアリングテクノロジー株式会社(3989) 決済損益:-180,400円(-53.69%)
・株式会社ビーネックスグループ(2154) 決済損益:-160,600円(-35.61%)
・SBテクノロジー株式会社(4726) 決済損益:+23,000円(+11.68%)
5名柄中、3銘柄で利益を出すことに成功しているが、決済損益の合計で見ると-233,600円と大幅に負け越している。
当たり前だが、株式投資は利確した銘柄の数を競うゲームではなく、最終的な利益を如何にして最大化するかというものである。
そういった意味では、上記の自分の投資スタイル「小さく勝って大きく負ける」は最も悪い手だと言えるだろう。
では株式投資で勝つためにはどうすれば良いか?
それは、全く逆の「大きく勝って小さく負ける」というスタイルではないだろうか。
現実的には「百戦殆うからず」とまではいかず、負けることも度々ある。
大切なのは、その負けを「小さく止めるのか」、それとも「傷口を広げてしまうのか」、このどちらとするかである。
そして勝つときは、利益の最大化を目指す。
これらはまさしく、ここまで述べてきた「下降トレンドに逆らわない」「上昇トレンドを享受する」そのものではないか。
如何にして勝ちを大きくし、如何にして負けを小さくするか。
この目標を達成するためにも、ここまで学んできた教訓を活かし、さらに経験を積んでアップデートしていく必要があるだろう。
おわりに
この1年間、株式投資で利益を出すことができたのは、ほとんどがアプライド株式会社によるものである。
テレワーク需要増加というテーマが偶然降りかかったのも株価急騰の要因であり、自分でもここまで株価が上がるとは想定していなかった。
そのため、今回の成功は決して自分の実力のみによるものではない、ということを受け止めておく必要があるだろう。
一方で、そもそもこの銘柄を割安な段階で見つけ出すことができたこと、上昇トレンドを享受し大きな利益を得たことは、自分がこの1年間の株式投資の経験から得た学びを活かせたと言っても良いと思う。
今回の成果を過信せず、一方で経験から得た学びを実践できたことには自信を持って、今後の株式投資に取り組んでいきたい。