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アンビスH売却

今年の主力銘柄としてNISA枠を使用して購入していたアンビスホールディングス(7071)を¥6,650で売却した。

取得単価は¥5,350であり、1ヶ月程の間で25%の利益を出すことができたものの、もう少し上を目指すかなと期待していただけに、やや期待外れな結果と終わってしまった。

今回は、ここまで期待していたアンビスHを売却した背景を振り返っていきたい。

アンビスH

アンビスHは、医療施設型ホスピス「医心館」を運営している企業である。

慢性期・終末期のような医療依存度が高い患者を中心に看護ケアを提供していることが特徴と言える。

一見地味なビジネスモデルに見えるが、その成長性は注視すべきものがあるのだ。

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このグラフは、18年9月期から21年9月期(予想)の売上高・営業利益の推移を示している。

直近2期での売上高成長率は70%を超えており、今期はやや鈍化想定ではあるものの、それでも60%近い成長率を見込んでいる状況だ。

大きな枠で見ると少子高齢化という潮流に乗っており、短い期間で見てもまだまだ「医心館」という箱を増やす余地が残されており、更なる成長性が見込めると言えるだろう。

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2020年11月ごろに株価が急騰し買い時を探っていたが、2021年に入りチャート的にも買える水準になっており、5日移動平均線が25日移動平均線を上抜けるタイミングで購入した。

 

売却した理由

チャートも強く、成長性もかなり見込めることから、個人的には8,000円以上行くことを期待していたが、2/18に増資が発表されてしまう。

箱を増やすために一定の資金が必要であるためポジティブな増資だと判断している人が多かったようだが、2月頭にかけてS高を2回つけるなどかなり値上がりしていたことも影響したのだろうか、翌日には大幅な下落でスタートしてしまう。

NISA枠を使用しているし、また長期で見たらまだまだ上げ余地があると想定されることから、売却のタイミングを迷っていたものの、最終的には以前も書いた自分のルールに従って意思決定することにした。

syokaturyoukoumei.hatenablog.com

それがボラティリティブレイクアウトである。

用語の意味に関して、詳しくは上記記事に詳細を委ねるが、簡単に述べると「それまでの平均的なボラティリティを突き破る値動きが起きた時に発生するものであり、トレンド変換を示唆する役割を果たすもの」のことを意味している。

 

これはATR(Average True Range)を基にして判断される。

計算の仕方は幾つかある様だが、指数平滑移動平均を使用する場合、

ATR=(昨日のATR×9+本日のTR×2)÷11 (直近10日で数値を算出する場合)

といった計算式になる。

 

アンビスHで計算すると、2/18時点でのATRは460.5となっており、これがこの銘柄の平均的な値動きの大きさを示している。

つまり、この数値内での値動きは許容範囲だと推定される訳だ。

一方でこの数値を大きく突き破る様な動きが出てきた場合、これはトレンド変換が起こった可能性があることを示唆している。

 

ボラティリティブレイクアウトを使用した売買手法とは、ATRに任意の倍数をかけて、その数値以上の値動きが発生した場合にトレンド転換と見なすやり方のことである。

一般的には1.5~3.0倍程度をかけるのだが、全ての個別株に当てはめるのは難しく、これは経験が必要になってくることだろう。

ちなみにこれは、ATRの2倍をボラティリティブレイクアウトと見なした際のチャートである。

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2/19の下落を以って、およそ3ヶ月続いたトレンドが下方向に転換したことを示している。 

 

ただ当時のアンビスHの場合、ATRの2倍は921という数値であり、つまり2/18終値の¥7,340から¥921も下落したタイミングで売り判断を出すことになる。

S高を2回つけるなど、かなりボラティリティが大きくなっていたこともあり、ATRの2倍で判断を下すとすると、かなり含み益を削ってしまうのではないかという恐れもあった。

 

そこで今回は、やや厳しめにトレンド転換を判断するため、ATRの1.5倍でボラティリティブレイクアウトとして判定することにした。

1.5倍とは690であり、つまり¥6,650に一度でも触れた時点で売却するという訳だ。

2/18に増資が発表されたタイミングで、明日の大幅下落が想定されたため、事前に数値を算出し、¥6,650で逆指値を設定しておいたのである。

 

結果的には¥6,650で売却し25%の利益を出すことができた。

またその後の値動きも弱く、¥6,000を下回る水準で動いている。

自身が売却したタイミングより、1週間で15%近く下落していることから、今回の判断は短期的に見れば問題なかったと言えるであろう。

もちろん、長期的に見れば上余地はあると考えているので、需給状況が改善されれば再度inすることも検討している。

終わりに

アンビスHは今年の主力として期待していただけに、25%程度で売却することになって少し残念に思っている。

しかし、ボラティリティブレイクアウトを軸としたトレンド転換に基づく売却によって、現状の最善は尽くせたのではとも思う。

一つの銘柄を信念に基づいて持ち続けるというのも一つのスタンスではあるが、自分としては「期待していたとしても売りを機械的に判断し、またトレンドが転換すれば買う」というスタンスの方が合っている。

この手法を導入したことにより、以前はなんとなくで判断していた売りタイミングを、数値として可視化した状態で見極めることができるようになった。

買いのタイミングを誤らなければ、目標としている「損小利大」の実現にも近づけるだろう。

 

一方で、どこからをボラティリティブレイクアウトとして判断するかには、恣意的な要素も含まれている。

完全に機械的な判断は難しく、ある程度は自分の判断も必要になってくるのだ。

この点に関しては、全ての銘柄に適用できるような指標を作成することは難しく、適宜判断していくことになるであろう。

ベースは上記のチャートを用いながらも、臨機応変な対応が必要と言える。

 

今回は売りのタイミングを明確に意思決定できたので、良いトレードだったのではないかと考えている。

個人的な期待度としては全銘柄の中でもトップクラスに高い銘柄なので、再度のトレンド転換を見逃さず、自分の利益に繋げていきたい。